青夏ダイヤモンド
「困難なことだとは思ってなかったかもしれんぞ」
手を止めて、祖父に向き直ると祖父は手元の文庫本に目を落としている。
「困難だと思うのは主観だからな。ある人は面白いものと思ったかもしれないし、ある人は当たり前のことと思ったかもしれない。彼らにとってみれば大したことではなかったかもしれん」
「敵に囲まれて自決するしかできなくても?」
「それが、命をかけて遣えてくれた家臣達を守ることになると思ったならな」
酷い世の中に生まれて、与えられた身分で、強く強く生きる武将達の姿に私はずっと憧れていた。
私だったらきっと逃げてしまう場面でも、彼らは決して逃げる事など考えない。
今ある自分の知恵を使って必ず行動を起こす。
その結果、死ぬ事になったとしても、悲観しない。
自分が選んだ道を後悔などしない。