青夏ダイヤモンド
ふと、本が並ぶ棚の隅に背表紙の無い半透明の本が数冊並んでいるのを見つけた。
それを手に取ってめくると、私が小学生の時に野球をしていた頃の写真ばかりが収めてあった。
「おじいちゃん。これ、何でここにあるの?」
アルバムの類は母がまとめて別の部屋に置いている。
小学生の頃の写真ではなく、その頃の野球をやっている時の写真ばかりがここにはある。
あまり上手いとは言えない写真の撮り方だけど、そこに写る幼い私は真剣な目で、時には笑顔で、時には泣いている姿が収められていた。
今はいない父に勧められて入った野球チームだったが、出来なかったことが出来るようになり、役割を与えられていく中で、野球の楽しさにのめり込んだいったことを思い出す。
勉強よりも練習ばかりするものだから、母には叱られる事もしばしばあって、その時にはいつも父が庇ってくれたが、父も一緒に怒られることになり、それを祖父が宥めに入るという事が何度か繰り返されたのも懐かしい。
「俺が撮った写真だ」
照れ臭そうにしている祖父を見ていて思い出すのは、口数の少ない祖父が野球の試合だけは声を出して応援し、野球の練習にも良く付き合ってくれていたこと。
「そういえば、おじいちゃんって野球中継が好きだったのにいつからか見なくなったよね」
「読書に時間を使いたかったからな」
祖父がいつからリビングのテレビで野球中継を見なくなったのか、なんとなく覚えている。
野球が好きだった父が家を出て行って、私が野球を辞めた頃と重なる。