御曹司とおためし新婚生活


「どういうことでしょう?」


奥田マネージャーが眉を顰め、代理店の男性も困惑しながらA4サイズの紙を一枚、白く丸いミーティングテーブルに置いた。

そこには【会場使用契約書】と書かれている。

ただし、主催の社名は明倫堂ではなく、他社のものだ。


「わたくしどもも突然で驚いているのですが、この日付は確かに御社の契約書よりも前の日付になっています」


明倫堂本社、エントランスの奥にあるオープンミーティングスペースに、奥田さんの深いため息が落ちた。

新作発表会に向けてサポートをお願いしている代理店、シキシマ広告社。

そこの担当の男性が、発表会の会場運営者の方に突然呼ばれ、この紙を見せられて……。


「ダブルブッキングなんて、最悪じゃない」


まさかのキャンセルを言い渡されたのだ。

さらに聞けば、どうやらイベント会場運営会社の社長さんが個人的に契約していたのが発覚したらしい。

そこは毎年新作の発表会で会場をひいきにしているとのことで、契約日のこともあり申し訳ないがそちらを優先すると言われた、と。


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