御曹司とおためし新婚生活


契約書のコピーを見せてもらうと、確かに日付は明倫堂より前のもの。

ただ……正直、こんなものは後からでも書けるものだ。

何か裏に事情があるのではと勘ぐって、あったとしても簡単に覆りそうにない状況に、私は悔しさからそっと拳を握る。

「どうしますか」と担当の男性に尋ねられ、奥田マネージャーは逡巡の後、顔を上げた。


「他の会場をあたりましょう」

「しかし、都内となるともう時期的に厳しいのでは」

「百も承知です。それでも探さないと。シキシマ広告社の皆様も、ご協力お願いします」

「もちろんです」


広告社の方が強く頷くと、奥田さんが私を見る。


「向日さんは東雲部長に報告をお願い。何か指示があれば教えて。連絡がついたらあなたも私と一緒に会場の空き確認を」

「わかりました!」


奥田マネージャーたちがミーティングスペースを出ていくのを見送りながら、私はジャケットのポケットからスマホを取り出した。


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