曖昧なポジション
試練、これは試練だ。
いかに私が平常心を保てるか、神様はイタズラを仕掛けてきた。
雰囲気に身を任せて告白をしてしまえ、そう背中を押されているような気がした。
水沢への想いを口にできたら、どんなに楽になるのかは容易に想像がつく。
けれど一時だけでも楽になる心と引き換えに、永遠の気まずさを引きずるのだとしたら、
そんな等価交換はできるはずがない。
今のまま、それ以上は望まないと決めたはずだから、私も目をつぶった。
水沢の家に着くまで、私も寝てしまおう。
余計なことを考えぬ様に、心を無に――、、
――――――、
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「お客さん、着きましたよ」
聞きなれぬハスキーボイスが脳に届き、はっとして目を開けた。後部座席に身をのりだし、運転手はこちらを見ていた。
「着きましたよ」
「あ、はい……えっ」
やばい、ヨダレが…
水沢の家に辿り着いたと思い、窓の外に目をやれば、そこは見慣れた自宅の前だった。