曖昧なポジション
「いきなり何だよ」
「聞こえないと思って」
映画館を出て、人通りの少ない裏通りを歩く。
目的地はどこだろう。
「お前の告白って、やっぱオカシイ」
「別に良いでしょ」
数歩前を歩く水沢は、まだ私の手を引いたままだった。
どうしようもなく離れたくない。
けれど、
「離して」
「なんで?」
「……遊びは嫌なの」
終わりにしないと。
触れられている部分が熱をもち、全身が熱い。
「どうして遊びだと思うの?」
「だって水沢には彼女がいるから」
同じことを何回も言わせて、水沢はいったいなにを考えているのか……。
私のことなんて、なにも考えてないか。
「彼女って誰のこと?」
「そんなのアンタが一番、分かってるでしょ」
一つ屋根の下で暮らし毎日、顔を合わせているだろう相手を、
忘れたなんて言わせない。