大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「虹、千歳くんの前でちゃんとできた?」
「………うん、」
「えらい。泣きたいなら泣いてもいーよ」
「ううん、いい」
「俺の前で強がるの、なし」
「…本当にいいんだってば、」
涙なんてでるわけがない。
千尋の目から逃れるようにうつむいたら、千尋の手はあっさりっと私の頭から離れる。
その代わりに、はい、とうつむいた先に、一本の花火を差し出された。
「線香花火、」
「……、」
「好きだよな」
「うん」
「言われたこと忘れろとかそんな簡単には言えないけど、今日あった嫌なことくらいこれで塗り替えればいーよ、虹」
他の女の子につかうなめた甘ったるさ、なんてどこにもないただ優しく穏やかな声に頷いて、千尋から線香花火を受け取る。
そっと親指と人差し指でつかんだら、千尋も同じように持って、カチ、と私の花火から火をつけてくれた。