大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
トッピングのメープルナッツもしっかりのっている。
苺とバナナとチョコレート。ホイップもしっかりもりもりだ。欲張りな注文。
自分のは、きっとツナクレープって六文字、言っただけのくせに。
苺とバナナ、とまだほんのり温かいクレープ生地。
生クリームはその熱にやんわりと溶けていて、口溶けは最高で、思わず目をつむったら、くす、と意地悪に千尋が笑う音が聞こえてむっとしてしまう。
「人が食べてるとこずっと見てるなんて悪趣味だよ、千尋」
「だって、虹が食べるとこ、面白いから」
最低だ。面白がるなんて。
じろっと睨んだら、平気で交わされる。
パラソルの横を通った女子高生二人組が、ちらり、と千尋を見て、何かこそこそ言って横を通り過ぎていった。
かっこいい、とかそういう類のこと。
でも、もしこの先彼女たちと接点があったとしても、千尋はきっとあの子たちには“くそやろう”なところしか見せないだろう。
なのに、なんで、百瀬さんにはくそやろうじゃないところしか見せないのかな。