大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】






「次、ファミレスとかいくー?」


隣を歩く水嶋くんが、カーフィーを腕にだく私を見下ろして聞いてきた。

あたりは完全に夜ではないけれど、少しだけ暗くなり始めている。
駅前だからにぎわってはいるけれど。



カーフィーをとってもらった手前、ここで帰るのは申し訳ないし、少しお腹もすいているから甘いものが食べたいなという気持ちもあって、「行きたい、」と答えたら、そのタイミングでお腹がきゅる、と小さな音を立てたから、思わず水嶋くんから恥ずかしくて顔をそむけた。




「デザート食べよっかー」

「………うん」

「そこはさー、お腹が返事してよー」

「からかわないで」




でも、なんでだろう。
そんなに嫌じゃない。


たぶん、水嶋くんのペースに慣れてきている。

ゆるい笑い声はやっぱり癪に障るけど、もともとそういう感じなら、私が受け入れるしかないんだなって思えてきている。

まあ、それでも、放課後に千尋以外といることは新鮮で、ふと自問したら、不思議な気持ちになる自分はいるけれど。





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