大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】





「……告白したけど、信じてもらえなかった」

「えー、まじ?」

「うん。…それに、千尋は私にたぶん恋愛感情がないと思う」



ついつい、もらしてしまった本音。
水嶋くんが相手なのに。

コンビニではじめて会ったときには、こんなところでこんなことを言うなんて、想像すらしていなかっただろう。



水嶋くんは、再び、スプーンを置いて、今度は机の上に肘をついて、私の方に少しだけ顔を近づけてくる。

それが合図だった。
思わず本音をもらしたことをすぐに後悔することになる。





そこから、ゆるくて、だけどどこまでも逃がしてはくれない卑怯な水嶋くんの質問攻めがはじまったんだから。




まだ一口もパンナコッタに手をつけていない私としては、一口くらい食べたい心境だけど、もうそこからは水嶋くんのペースにのまれにのまれ、誘導尋問なんかにもひっかかったりして、結局、千尋にまつわることをほとんど水嶋くんに話してしまった。

とってもらったカーフィーと、それからつかめない水嶋くんのちょっとだけつかめた過去と、そういうのが口をすべらす手助けをしていたと思う。



美優にしか話したことがなかった、千歳くんのことも。
私と千尋と千歳くんの三人の過去のことも。
千尋との過去のことも。



ティラミスを食べながらゆるい表情で聞く水嶋くんに、膝の上のスカートをぎゅっと握りながら私はいつの間にかほとんどのことを話していた。




話し終えて、というか水嶋くんの質問攻めが終わり、口を一度閉じた私に、水嶋くんが最初に放った言葉は、結構辛辣なものだった。






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