大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】

「……そんなこと言ってるけどさ、違うんじゃないの。実は千尋、水嶋くんに嫉妬してるんじゃない？」




勘違いも甚だしい、痛いセリフ。

答えは、分かってて言ったんだ。


完璧に否定されて、それでどん底に落ちるイメージが膨らんでいく。
その後の自分は分からないけれど、きっと涙なんてでないんだろう。



はやく否定してよ、なんてあまのじゃくなことを思いながら千尋をにらみ続けていたら、千尋は、伏せていた目をゆっくりとあげた。



難しい顔に、なぜか甘い笑顔をはりつけて。

そのバランスの悪さも整ったきれいな顔だったら様になるんだ、なんて頭の端っこでばかみたいなことを思いながら、ぎゅっと唇をかんで千尋を見上げる。





そうしたら、千尋が小さく唇をふるわせた。