大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】














「虹、そんなんで大丈夫なの?」






軽音部のステージ発表の休憩の合間に、心配そうに隣で聞いてきた美優にぎこちなく頷く。


時刻は11時。
あと3時間後には、告白大会がはじまってしまう。




朝五時に目覚めてしまうし、朝ご飯も喉を通らなかったし、正直今日がきた時点で、平常心のへの字も私は持ち合わせていなかった。

今だって、軽音部の発表をぼーっと眺めながら、頭の中はお昼からの告白でいっぱいで。
軽音部の人たちにも申し訳ない聞き方をしていると思う。




ぽんぽん、と美優が背中をなでてくれる。

小さな手だけど、そこから受け取るものは大きくて、ありがとう、と何度も思ってることを美優に言う。
そうしたら、「今日の虹は、いつもより何倍も可愛いから大丈夫だよ、」と笑ってくれた。





だけど、心臓はずっと不安定に浮いていて、そわそわ落ち着かない。

髪はゆるく巻いておろしてきた。
リップもお気に入りのものをもってきたし、いつもはしないけれどこっそり睫毛もビューラーであげてきた。




でも、そうやって少しでも可愛くしようと頑張っている間も、こんなことに意味なんてあるのかな、なんてネガティブな私が顔を出して。
そのたびに、胸ポケットの上に手を置いて、どうにか勇気を失わないようにこらえて学校まできたんだ。




「……虹、見守ってるからね」

「うん、ありがとう美優」

「朝比奈君がなんて答えようが、学祭終わったら一回あのイケメンのほっぺた叩かせてね」

「はは、それはだめ」

「じゃあ、くそやろう、って跳び蹴りしてもいい?」

「ふ、それはもっとだめだよ」

「なんでよー」





美優が私にからだをくっつけて、からかうみたいにこしょこしょってくすぐられる。

それで、ちょっとだけ緊張がほぐれた。


本当に、私はいい友達をもったと思う。

美優にも、本当は水嶋くんにも、ありがとうって何度言ってもいい足りない。








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