大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
それから、すぐに二番目の人がステージにあがる。ショートカットの女の子だった。
彼女は自分よりひとまわりも大きい男の子を指名して、告白に見事オッケーをもらった。「よっでこぼこー」なんてからかいのふりをした祝福に、嬉しそうに顔をほころばせてステージから降りていった。
振られたり、オッケーをもらえたり。
だけど、順番がせまってくればくるほど、他の人のことは考えられなくなる。
血の気が引いていて、頭のなかはさめている感じなのに、手汗だけはかいているのが自分でもわかる。
虹色ハートは、しおれているだろう。
心臓は、これ以上はやくなったら死んじゃうんじゃないかってくらいのビートを刻んでいて、深呼吸すらままならない。
「つづいてはーー!六番目のかたでーーーす!!」
そして、ついに私の番がきた。
盛り上がる体育館。
ゆっくりと足を体育館のステージにむかわせる。
足は、案の定震えてだした。
右足と左足、いつもなにも考えずとも歩けるのに、今日は頑張って命令しないと動いてくれない。
一歩、二歩、三歩、カウントダウンはもうすでにはじまっているのだと足音がそう言っている。
虹色ハート、好き、ありがとう、ごめんね、千尋、千尋、
呪文なのか、なんなのか分からないけれどうまく働かない頭のなかに言葉を並べて、ステージにあがったら、視線を一斉にあびて、身体の奥がさらに震える。
ステージの真ん中にたって、体育館をそっと見渡しても、千尋がどこにいるかは分からない。
でも、いるんでしょう。
私が、今から、告白するんだよ。
千尋の嫌いなやり方で。
でも、それくらい、受け取ってほしいんだ。
だって、こうしないと、また勘違いだっていうんでしょう?
もう、それは嫌なんだよ。
好きと、ありがとうと、ごめんねだけが伝えたかったはずなのに、なぜか違う気持ちまで溢れてきて、それで、少し気が紛れたのか足の震えはとまった。