大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
ねえ、千尋。
本当に、優しさだけだった?
『虹、泣かないで』
『俺がそばにいてあげる』
本当に、優しさしか、くれていなかった?
何年もそばにいた。
でも、本当に分かりたいことは、いつだって虚しさに紛れて、光らなかった。たぐり寄せても無理だった。
やっぱり、嫌だって思ってしまう。
千尋がいい。
この恋を止めたくない。
でも、私、千尋の優しさにもう自分の恋を殺されたくはないんだよ。
それなら、やっぱり、自分でちゃんと失いたい。
虹色ハートはもう、よれよれになってしまっているだろう。
だけど、これをお守りにできるのは今日限りだし、この日のために今までとっておいたんだって思うことにする。
マイクを向けられたまま、何も喋らない私に、ステージの下から、「がんばれー!」といくつかの声が届く。
「枢木さんーーーー!告白相手の名前を、教えてください―――!」
生徒会長が、もう一度私に催促をする。
それで、ようやく覚悟をきめた。
唇をゆっくりとひらく。
体育館は、また静けさに包まれる。
あ、の口をつくれば、カウントダウンは、ゼロになる。
それで、喉の奥から、音をのせようとする。
____そのときだった。