大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「っ…」
予期していなかった質問に、驚いて焼きそばが喉に詰まる。
それで、盛大にむせてしまった私に、千歳くんは心配もしてくれずけらけら笑っていた。今は、全然、王子様じゃない。
一通り、ごほごほとむせた後、おさまってもなんて返せばいいのか分からずに黙っていたら、千歳くんの顔が優しくなって、からになった自分の焼きそばのパックを私との間に置く。
「なんかさ、虹。ちょっと、昔に戻ったみたいだ、気分が」
「…千歳くんと付き合っていたとき?」
「うん、今なんか、こんな感じだったなーって一瞬よみがえった」
「…浴衣じゃないけどね」
「だね。でも、似合ってる、そのワンピースも」
「……あ、りがとう」
「でも、今はもう、可愛くて愛おしいとかそういうくさいことまでは虹に思わないんだよ。ふつうに、あ、可愛いなその服、ってそういう軽さで思うだけ。今はほんとに好きな子のことしか頭にない。虹もずっとそうだったはずだよ。偽っても誤魔化しても、虹は、千尋のこと考えてる」
「……、」
「…で、虹。もう、そろそろいいんじゃない? 俺ね、今日、虹と会うなら、完全にお互い楽になれるように、そのためだけに、2年前で終わったこと、ちゃんと話すべきだなと思った。傷を掘り返すんじゃなくて、ただ楽になるために」
「……」