大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
『は。.......え、虹は?千歳くん、虹とちゃんと夏祭りいったんだよな?』
心配と不機嫌を混ぜ合わせたような声音に、ドキリ、と心臓はなって。
それから、やっぱり、千尋は優しくて、くそやろうだって思った。
「いったよ。虹に、俺が食べたくて買ったりんご飴、半分以上食べられた」
『…そんなことまでは聞いてない』
「そっか。あ、今も、虹一緒にいるよ」
『じゃあ、なんで俺にかけてくんの。もう、切っていい?』
「いや、だめだよ千尋。…あのさ、お願いがあるんだけど、」
千歳くんが、一度、電話を耳から遠ざけて、私から一歩後ろに離れた。
それから、王子様みたいな微笑みではなく、どちらかというと悪役みたいに口角をあげて、もう一度携帯を耳に近づける。
えくぼはしっかり頬にあるのに、出会ってからはじめてみた彼の笑い方に、ああ、まるで悪役ヒーローみたいだ、なんてぼんやりとしたことを思っていたら、その口がゆっくりと開く。
「――虹が、どうしてもどうしても手持ち花火したいって言うんだけど、俺はもう虹といるの疲れたからバトンタッチしていい?」