大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「虹、そもそも手持ち花火したかったの?」
しん、とした夜道を公園めがけて歩いている。
歩くたびに、カサ、と千尋がもつ手持ち花火が入った袋が鳴る。
お気に入りのワンピースを着ている私と、モスグリーンのゆるい部屋着の千尋。
千歳くんと歩いているときのような、人一人分の距離は私たちにはないけれど、かといって触れあうこともない。
何も答えない私に、千尋がこっちを見る気配がした。
「違うか。虹。千歳くんと一緒に長いこといたかったからだ」
私はふるふると首を横に振ってその言葉を否定する。
そうしたら、「違わない」って私の気持ちなんて一つも分かってない千尋が、ぜんぶ分かっているとでも言うかのようにそう重ねた。