社長はシングルファーザー

私と要君は作戦内容を詳しく社長に話した。

複雑そうな顔をしながらも内容を聞いてくれた。

最後まで聞き終えると、「わかりました。よろしく頼みます」と社長にお願いされた。

私は頷いた。

「俺さ、アイツから聞いたよ。アイツの所も被害にあったらしいぜ。白紙にしたって言ってた」と社長は言う。

「…篠井さんもですか…？」と私が言うと、色々と対策を教えてくれた。

「何かあったらすぐに連絡くれ」と社長はケータイの番号とLINEのIDを教えてくれたので、私は早速登録した。

「えー飛鳥さん、ズルい！俺も教えてください」と要君に言われたので教えた。

「無理はすんなよ？」と社長言われて私は頷いた。

そして秘書室を後にした私は一度デスクに戻り、資料を手にして、会社を出た。

プレイジに向かうために。

車を回してもらって、私はプレイジについた。

受付につき、担当者の女が現れたが、その横に知らない男がいた。

とりあえず、進められるまま、会議室につれてこられた私はあの時の要君にならい、思いきり頭を下げた。

「先日はウチの川合が失礼しました。これお詫びです。つまらないものですが」と言って私は持参した手土産を渡した。

「顔をあげてください」と担当者に言われて顔を上げた私。

今はびびってる暇などない。

いや、びびる必要なんてない。

私は堂々として顔を上げた。

「とりあえず座りましょ！」と進められ、向かいの席に座った。

「あなたが新しい担当者さんですか？」と男が聞いてきたので、私は名刺を差し出した。

「代表副社長の獅童飛鳥と言います。川合に変わりまして、私が引き継ぎさせていただきます」と私は言った。

「写真は見ていただけましたよね？」と女は言ってきた。

「はい。確認させていただきましたが、冗談はよろしくないと思いますよ？どう見ても合成写真でした。彼は短髪ではなく長髪ですし、独身ですので、結婚指輪もしておりませんでした。まあここまではあくまで見た感想ですけど」と私は言った。

そして「どちらも解析ソフト使用したんですが、あなたと、幹部の方でしたね。お二人はおつきあいを？」と私は続けて聞いてみた。

女の顔色は変わったが男の方は顔色１つ変えなかった。

それが何か？というような顔をしていた。

「…目的は？」と言ってきた。

「こちらが新しい契約書と新資料になります」と私は言って封筒を差し出した。

「だから目的は？」と男がキレ始めた。

「目的ですか？私との再契約です。川合との契約は白紙にしていただきたいんです」と私は言った。そして契約書をつきつけ、サインをさせた。

といっても次来るための口実用のためだが。

しょうもない脅迫に私は絶対負けない。

「これで満足なんですか？」と男。

「何をおっしゃりたいのですか？」と私は言った。

「契約を続ける気はないのだが」と男。

「そうですか。構いませんが、ウチへの嫌がらせに対して、会社を不利益に導いた上、川合が精神的損害を受けたとのことですので、慰謝料を請求させていただきますよ。ならびに文書偽造の罪もかっせられますので、かなりの損害賠償を支払っていただきますのでよろしくお願いいたします。追ってはこちらから改めて伺いますのでそのための契約書ですから」

と私は言い、笑顔を振り撒いて、契約書を封筒に戻した私はプレイジを後にした。

弁護士と話し合って賠償金を請求しようということになり、今回に至った。

私は会社に戻り、戻ったことを伝えた。

「今日は残業はせず、みんな定時で帰宅してくださいね」と私は言ってデスクについて作業を始めた。