社長はシングルファーザー
「やっぱり俺ら、相性いいよね?」なんて社長は言って二人は顔を見合わせている。

「もちろんじゃないですかぁ。俺は社長一筋ですよ?」と要君は言うが、

「ふーん?アイツにもそれなりの態度取ってるんだろう?」と社長

「まさか!いくたび口説かれてるけどちゃんと断ってるんですからね!」と要君は言いながら、抵抗している。

そんな二人を眺めるのはほんとに楽しくて仕方なかった。

「アイツが、お前を可愛い、って褒めちぎるから…」と社長

「あら?ヤキモチですかぁ?やだなぁ」なんて要君は言ってるが…

社長の機嫌が少し直ってることに気がついた。

さすが要君。よくわかっているんだわ。

どーすれば社長の機嫌が良くなるのかを…。

それにしても…何であんなに怒ったのかしら?

私が要君を泊めたから?それとも…カズトと飲んだから?

もしかしてどっちも?

まあ、聞かないことにしよう

私たちは楽しく食事し、店を後にした。

要君はほんとに…食べに来ただけ?と思うほどに帰っていった。

二人にされた私たちは無言で少し歩き始めた。

「さっきは、その…悪かったな」と先に口を開いたのは社長だった。

「いえ、私も少し無神経でしたよね?心配してくれたんですよね?」と私が言うと

ブツブツと小さな声で「…そう言う意味じゃない」と言っていたが、私には聞き取れないのでスルーした。

「せっかくなので、何かしますか?」と私が言うと、

「…どーしよ?あ!俺帰るわ。眠いんだよなぁ」と社長は言ったので、

「しっかり休んでください!体調管理気をつけてくださいね?」と私は言って、社長を見送った。

そして私は特に何をするわけでもなく、気づいたら海に来ていた。

浜辺に座りボッーと海を眺めた。

何もしなくてもここで風に当たっているだけで、心は落ち着いた。

しばらくして、私は頬を伝う何かを感じた。

どうやら涙が流れているらしい…

けど、理由はわからなくて。なんの涙なのか、考えないようにした。



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