社長はシングルファーザー
ほぼ、愚痴に近い内容の話をしながら、

カズトとの関係を自然と聞かれてしまった。

聞き上手な要君、社長と同じく巧みな話術で上手く乗せてくる。

そして私は元カレであることを言ってしまったのだが、なるほどーと深いことは聞いてこなくて終了。

話は社長の息子、圭斗君の話になった。

会ったことは無いが写真は見せられたことがあるらしい。

小さい頃から1人で過ごすことの多かった圭斗君は家族らしい思い出はあんまり無いらしくて…

少し寂しい気持ちになった。

夏休みは近所と言うことで、1人で海に行くことも多かったって。

高校生になってからはダチと海に行くこともあるそうで。

怖い思いもしたことあったらしいが、それ以上に大切な思い出があるとか。

そんな話を聞いたからか、いつか会いたいと言う思いが強くなった。

私たちは食事を終え、要君に送って貰って家に帰った。

翌日、朝イチで私は社長室に資料を持ってきた。社長や要君と少し話せるようになって、気持ちにも多少変化があった。

「例の案件です。こちらに置いときますね」と私は言って社長室を後にした。

私は自分のデスクに戻り、仕事を始める。

もうすぐ迎える夏休みのことなんかををボッーと考えたりしてみたりして。

うちの会社には、夏休みと言う名の3週間の大型連休がある。

社長が息子と一緒に過ごすために設けたのが始まりだとか。

それが今では当たり前のように定着している。
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