冷たい指切り  ~窓越しの思い~
『よく目が合うね』なんて言えないから………

部活は?クラスは?家族は?と………

思いつく悩みの原因を聞いてみるが…………ことごとく失敗に終わる。

もしかして大学とか将来のこと?と言っても………首を振るし。

う~ん。

…………………………恋煩い??

そう聞くと…………答えないが、頬が少し色づいた。

あぁ~!!恋をしたのかぁ。

なんだ、心配したのに。

だったら、俺が相談にのることはない。

女子高生の恋愛なんて………全然分からないんだから。

伊藤さんの悩みが深刻でないことに安心したのに…………

それからも目が合うことに変わりはない。

訳が分からず途方にくれた。



「樹~。
伊藤さんの様子が、おかしいんだけど………何か知らない?」

以前、はぁちゃんこと望月さんの言っていた

『恋愛相談は、樹先生に!』を実践してみた。

望月さんと付き合い始めて……夜、遊びに行かなくなった樹は

家に行くと必ずいるから助かる。

仕事終わりにフラッと立ち寄ると………気持ちよく迎えてくれた。

「そりゃ~もちろん!恋煩いでしょう。」

俺が散々悩んで、探って………やっと手にいれた情報を

あっさり言い当てた。

………………樹って………本気で凄い!!

神の域に感じる男を、尊敬の眼差しで眺めていたら

「和君は、分からなかったでしょう?」と

これまたあっさり、当てられた。

コイツは何モンだ??

樹の特殊能力に感心しながら、今日までに感じた違和感を相談した。
< 66 / 81 >

この作品をシェア

pagetop