冷たい指切り  ~窓越しの思い~
「お姉ちゃん、遅くなるって……学校??」

「多分、バイトかな?
先生になるって決めてからは再び張り切って、託児所でバイトしたり
図書館で絵本を読んだり………
色々頑張ってるみたいです。」

「じゃ、毎日一人?」

もしかして……淋しさを伝えてた??

「そうですね。
でも、学校の勉強や色々やることがあるから
そんなに退屈ではないですよ。
先生に『料理も練習したら大丈夫。』って言われて、毎日作ってるから。
大したものは作れないけど……
食べれるものが出来るようになりましたよ。」って……

好きな人に作ってあげるため??

やっぱり恋の悩みかな?

樹の言葉を信じて、恋煩いの方向で話しを進めようと思ったら

「先生は、どんなものが好きですか?
和食?それとも洋食??カレーは、なしですよ。」と

俺の好きなもの??

そういえば、上手にできるようになったら……食べてって言われたなぁ~

「そうですね。
定番だけど、肉じゃがは好きですよ。
後は………パスタやグラタン……おでんに焼きそば。
カレーも好きだし……あっ!でも、作ってくれるなら……
冷奴でもじゅうぶんですよ。」

「あっ、ヒドイ!!
ちゃんと食べれるものが作れるのにぃ」

唇を尖らせているのが目に浮かぶ。

「それは是非食べてみたいですね。」

俺の言葉に

「ホント?ホントに!?」と嬉しそうな声を出す。

「でも、本当は俺ではない人に食べてもらいたいんじゃないですか?」

「えっ!」

驚く彼女に、しまったぁ!と思うが遅い。

あまりにも直球すぎた。

電話だとどんな表情をしているのか分からないが………

多分、真っ赤になっているだろう。

……………………しかし、ここまで言ったのだから………聞こう!!
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