冷たい指切り  ~窓越しの思い~
彼女の話しは………………想像出来た。

ただ、前回のように遮ることはしなかった………というか

彼女の決心に………それは出来なかった。

「先生、この間は……差し入れ………ありがとうございました。
本当に…………ホントに…。嬉しかったです。
……………………。
今日、お話しすることは…………
きっと………先生にとっては………ご迷惑なことです。
でも、前に進むために……………許して下さい。
………………………私、伊藤 千尋は………
和也先生のことが…………………好きです。
いつからか…………分からないですけど………
気づいたら、好きになっていました。
…………………………………………ごめんなさい。
もう…………………2度と……………言いません。
…………………………ただ…………
ひっそり好きでいるのは……………許してもらえませんか?
……………………好きで…………いさせて下さい。」

なんとも…………純粋な………告白だろう。

好きです。付き合って下さい!と言うのかと思えば…………

ひっそり好きでいさせて下さいって……………。

これは………俺の勇気の無さと………自分本意な心が……

言わせてしまった。

これを決心して………伝えるまで…………

どれだけの苦悩があったんだろう?

俺にNOと言われないように、あれだけ頑張って努力したんだろう。

痛々しい程のひたむきさに…………

俺の出す答えは……決まっている。

俺だけ逃げる訳にはいかない。
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