愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
調査したのは桐島さん自らで、私はあの時の状況を詳しく説明しただけで、どうやって犯人を突き止めたのかはわからない。

翌週の月曜日に、まだ知らされていなかった犯人に怯えながらも仕事をしていたら、容器包装デザイン部の部長に、『一緒に来てくれ』と声をかけられた。

部長に連れられて入った部屋は四階の社長室で、そこには先に本橋さんがいた。

険しい顔の桐島さんに促された彼女は、あの時、帰ったふりして部署内に潜み、私が席を外した隙にデータを消去したのだと白状した。

そして、『大変申し訳ございませんでした』と深々と頭を下げたのだ。


理由は、焦りと妬みにあったらしい。

最初は、私が社長に可愛がられていることを気にしてはいたが、自分の仕事に影響するほどの人物ではないと、本橋さんは判断していたそうだ。

しかし、モルディジャパンの新たな試みであるアイスクリームのパッケージングという大きな仕事が私に与えられ、彼女はそのチームに入ることができなかった。

それは、本橋さんが他にもたくさんの仕事を抱えていたからという上司の配慮であったのだが、彼女としては私に仕事を取られた気分になったみたい。
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