愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
両手を握りしめて主張したら、また頭に桐島さんの手がのせられ、ポンポンと優しく叩かれた。
「わかったよ。ふた月ほどすれば新入社員が戦力となってくれるだろうし、忙しいのももう少しの辛抱だ。人手不足にしてすまないが、無理のない程度に頑張ってもらいたい。困り事はすぐに私に言ってください」
「はい」と返事をしたら桐島さんはニコリと微笑み、それから私に背を向けてドアへと進み、足早に廊下へと出ていった。
私は視線を隣の席に向けて、誰にも気づかれない程度の小さなため息をつく。
そこは本橋さんの席だった場所で、今は新入社員の女性が使っている。
この四月に、容器包装デザイン部には二名の新卒採用者が入ってきて、今は全体オリエンテーションを受けねばならない期間のため、席を外していた。
人手不足にして申し訳ないと桐島さんは言ったけど、それはこちらの台詞である。
私と同じ部署にはしておけないと、本橋さんが異動させられてしまったから……。
二カ月ほど前の、データを消されたあの件の犯人は、本橋さんであった。
「わかったよ。ふた月ほどすれば新入社員が戦力となってくれるだろうし、忙しいのももう少しの辛抱だ。人手不足にしてすまないが、無理のない程度に頑張ってもらいたい。困り事はすぐに私に言ってください」
「はい」と返事をしたら桐島さんはニコリと微笑み、それから私に背を向けてドアへと進み、足早に廊下へと出ていった。
私は視線を隣の席に向けて、誰にも気づかれない程度の小さなため息をつく。
そこは本橋さんの席だった場所で、今は新入社員の女性が使っている。
この四月に、容器包装デザイン部には二名の新卒採用者が入ってきて、今は全体オリエンテーションを受けねばならない期間のため、席を外していた。
人手不足にして申し訳ないと桐島さんは言ったけど、それはこちらの台詞である。
私と同じ部署にはしておけないと、本橋さんが異動させられてしまったから……。
二カ月ほど前の、データを消されたあの件の犯人は、本橋さんであった。