愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
私が少し微笑んだら、彼はホッとしたような顔をする。

それからフランス語でエマさんになにかを伝えると、彼女が私に笑顔で握手を求めてきた。


おたまを右手に持っていることにやっと気づいた私は、恥ずかしく思いながらそれを左手に持ち替え、彼女と握手する。

ハッキリとした二重の大きな青い瞳が三日月形に細められ、彼女が私になにかを話しかけてくる。


桐島さんの同時通訳によれば、彼女は日本食が大好きらしい。

今夜は和食の有名店に連れていってほしいと彼にお願いしたら、『我が家にはどこの店より美味しい料理を作る凄腕のシェフがいる』と言われたそうだ。

『有紀子さんがそのシェフなのね。料理をしてくれてありがとう』と言ってくれる彼女は優しく、話し上手で社交的に見える。

グループ会社の末端社員の私にも、気さくに話してくれるその人柄に好感を持った。


エマさんは素敵な人……。


桐島さんと並んでも遜色のない容姿をしているというだけでなく、話して数分で内面も魅力的だと感じていた。

それに対して私は、「日本の家庭料理を楽しんでいただけたら嬉しいです」とオドオドと答えて、ぎこちない笑顔を浮かべるのみ。

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