愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
エマさんは饒舌に話す人で、私の手料理の一品ずつについて優しい感想を述べてくれた。

あちこち傷んだ紫陽花荘の建物についても、『味わいがあってとても素敵』と上手に褒め、桐島さんがここを買い取った気持ちがよくわかると言ってくれた。

それから、『私もここに住みたいわ』とも……。


おでんを箸で上手に食べて、桐島さんと日本酒を酌み交わし、紫陽花荘で暮らしてみたいと話すエマさんに、私の作り笑顔が崩れそうになる。


彼女の今夜の宿はどこだろう。

もしかして、ここに泊まるのかな……。


桐島さんからそんな説明はされていないけれど、そうなる予感がしていた。

恋人なら、桐島さんの持ち家である紫陽花荘に泊まるのは普通のことだ。

彼の部屋で、ふたりが寄り添って布団に入る姿を頭に描いてしまい、胸に痛みが走る。

思わず首を横に振って、その絵を消そうとしたら、「有紀ちゃん?」と桐島さんに不思議そうに呼びかけられて、ハッと我に返った。
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