愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
それで蓋を開けて「これがぬか漬けです」と日本語で答え、中のキュウリを引っ張り出して見せ、その後に流し台の上の、切ってお皿に盛り付けた漬物野菜を指差した。

笑顔で頷き、理解してくれた様子のエマさんは、それからも次々に質問をぶつけてくる。


棚にしまってある乾物や、木製の落し蓋。

卵焼き用の四角いフライパンに、しゃぶしゃぶ用の鍋、釜飯用のお釜やたわし、等々……。


説明に困ってオロオロする私に、クスリと大人の笑い方をするエマさんは、一旦居間に戻ると彼女のスマホを手に台所へ引き返してきた。

そしてなにかのアプリを起動させ、スマホに向けてフランス語で話しかける。

すると『これは自動通訳アプリです』という日本語の機械音声が聞こえた。


そんな便利なものがあるのかと目を丸くする私に、彼女はそれを使って、私に押し寿司の木型の説明を求めてきた。

私の返事はスマホを介してフランス語に通訳され、桐島さんが不在でも会話が成立することにホッとして自然と顔が綻ぶ。

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