愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
店の奥にはL字型のバーカウンターがあり、手前には丸テーブルが八つある。

テーブル席はひとつだけ空いていて、カウンター席も椅子が三つしか残っておらず、なかなかの繁盛振りだ。


青や黄色の間接照明が壁や酒瓶の並んだ棚を照らし、アメリカ風の雑貨や額縁に入れられた白黒写真、外国の道路標識などが飾られた店内は雑多な印象。

私の趣味には合わないが、きっとこれがお洒落なのだろう。


客層は二十代が多いように見える。

店内にはポップな洋楽が流れ、若者の楽しげな語らいの声に満ちていた。


友達と大手居酒屋チェーン店に入ったことはあるけど、こういう店は初めてである。

落ち着かない気分でカウンター席の端に座り、メニュー表を眺めていれば、注文前なのに、私の前にオレンジジュースのような色をした飲み物が出された。

先ほどの店員が、作り笑顔を浮かべて、気前のいいことを言う。


「一杯、サービスするから。未成年だと勘違いしたお詫びに。だからSNSに店の悪口書かないでね」


そういう客が、たまにいるのだろうか……。

私はそんなことしないのにと思いつつ、サービスのドリンクにお礼を言った。


彼はナッツやチーズなどのつまみも、飲み物もすべて五百円だという説明をして、私から離れていった。

サービスしてもらったドリンクを恐る恐る口にした私は、『やっぱり……』と心の中で呟く。

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