愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
武雄は私と桐島さんが恋仲であるようなことを、きっと冗談で言ったのだと思う。

けれども、恋心を抱かないよう、私は妹的な存在なのだと自分に言い聞かせている今は、真に受けて心が乱される。

「な、なに言ってるのよ! そんなんじゃないから」と焦って否定して、慌てて話題を変えた。

「ゴールデンウィークには、こっちに帰れるの?」と問えば、《ごめん》と謝られる。


《試合前なんだ。連休中もずっと剣道場で帰れない》

「そっか。じゃあ、次に会えるのはおばあちゃんの一周忌の法要だね」

《うん。それは絶対に帰る。家のこと、姉ちゃんに任せっきりでごめんな》


武雄はまだ高校生だから、私に養われていて当然なのに、時々大人びたことを言う。

力になれない自分に歯痒い思いでいるのかもしれないと思いつつ、私も頼りない保護者でごめんねと心の中で謝った。

「武ちゃんは勉強と剣道を頑張って。おばあちゃんもきっと天国でそう思ってる。それじゃ、またね」と言って電話を終わらせた。
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