愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
それでも、なんとか信じてもらわなければと、早口で嘘を重ねた。


高校時代の級友が近くに住んでいて、連絡したらおいでと言ってくれた。

他の友達も誘ったら五人が集まって、急遽お泊まり会をすることになったのだと。


「だから心配しないでください。私も久しぶりに友達と会えて嬉しいんです。桐島さんはエマさんとーー」


『ふたりきりの楽しい夜を過ごしてください』と言おうとして、言葉に詰まる。

本心とは真逆のことを口にすれば、さらに心は傷ついて、涙が溢れてしまいそうだ。


それで、「充電がなくなりそうです。すみません、切ります」と一方的に言って、電話を終えた。

切る間際に大きな声で名前を呼ばれたが、それを無視してしまった。


信じてくれたかな……。

それを気にしつつ、スマホの電源を落とした私は、カクテルグラスに三分の二ほど残っていたカシスオレンジを、一気に飲み干した。

アルコールが喉から胃までを熱くして、思わず顔をしかめる。

苦手なお酒を流し込むように飲んだのは、酔ってしまいたいという思いがあるためだ。


もう一杯、同じものを頼んで、それを飲んだらネットカフェに行こう。

酔っていたら、人の話し声や物音がする環境でも眠れるよね、きっと……。

< 130 / 258 >

この作品をシェア

pagetop