愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
その彼が、他に誰もいない会議室のドア前で私と向かい合い、「付き合って」と交際を申し込んでいるのだ。

驚かないわけにいかない。


「あの、わ、私に言ってるんですか?」

「そうだよ。他に誰がいるんだよ。小川さんが好きなんだ。俺と付き合って」


一本気さんとは、アイスクリームのパッケージを製作していた時に、数回会議で顔を合わせ、仕事上の会話を交わしただけの希薄な関係である。

もしかして、彼もこけし収集を始めたのだろうか……と思いつつ、驚きからやっと回復した頭で、断りの台詞を考えて口にする。


「三カ月ほど前から、お付き合いしている方がいるんです。一本気さんのお気持ちはとても嬉しいのですが……すみません」


告白を断るなどということは、人生初めての経験である。

おかしな断り方ではなかったか、彼は傷ついていないかと気にしつつ、下げた頭を戻したら、腕組みをしてじっと私を見据える彼に「嘘だね」と言われた。

「小川さんに彼氏はいない。過去も現在も」と強気な口調で断言されて、私はうろたえる。
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