愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
思いがけず、彼の性癖を聞かされた私は、目を丸くして絶句する。

彼が処女にしか興味がないということよりも、匂いでわかると言われたことにショックを受け、自分の手の甲や腕を嗅いでしまう。

処女の匂いって、どんなもの……?


私の衝撃や動揺を感じ取った様子の彼は、いささか正直すぎたと後悔したのか、ばつの悪そうな顔をする。

そして、この妙な空気をごまかすかのように、「とにかく」と語気を強めた。


「俺は小川さんが好きだ。一度断られたくらいで諦めることはない。振り向いてくれるまで何度でも告白するから」


『それは困ります……』と心の中で呟く私を残し、彼は先に小会議室から出ていった。

閉められたドアの外で、彼の足音が遠ざかり聞こえなくなったら、私は思い出したかのように大きく息を吐き出した。


「びっくりした……」


こんな私を好む人が、桐島さんの他にもいたとは、真夏に雪が降るほど予想外だ。

その好意をありがたいと喜べないのは、何度でも告白すると言われたせいと、他にもうひとつ。


一本気さんは正直でまっすぐな人だけど、ちょっと変わったところがあるみたい……。


苦手意識が芽生えたのを感じつつ、お弁当の続きを食べるべく、私も小会議室を後にした。

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