愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
ガラスの開き戸から店舗の中に入った私たちは、奥の喫茶スペースへ。

そこは店内の三分の一ほどを占めていて、椅子が四脚のテーブル席が八つある。

窓際のテーブルしか空いていなかったが、レースのカーテン越しの日差しは柔らかく、冷房の効いた店内は、どの席でも居心地よさそうな気がした。


肘掛付きの布張り椅子は西洋のお城にあるような豪華さで、私と向かい合って座る亜美ちゃんは口の横に片手を添えて、囁くように言う。


「贈り物にチョコレートを買いに来たことはあるけど、ここに座るの初めて。私たち大丈夫? 浮いてない?」


その言葉で周囲の客を見ると、セレブな装いをした中年の女性客が多いようだ。

気後れしているような亜美ちゃんだけど、ファッション雑誌に出てきそうなお洒落な服を着ているし、持っているハンドバッグも有名ブランドのものである。

モルディでお茶を楽しむことに、違和感はないように思えた。


浮いているとしたら、それは多分、私ひとり。

薄化粧に、髪はひとつに束ねただけで、アクセサリーはなし。

ミントグリーンの半袖ブラウスは綿素材で、紺色の膝下丈スカートは綿とポリエステルの混合だ。

どちらもお出かけ用ではなく、家の中でよく着ている服で、安物である。

加えて、無地の革のショルダーバッグは通勤用で、少々よれていた。
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