愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
「私の彼、誰だと思う?」と聞く彼女は、まるで私がその人を知っているような口振りである。

ワクワクと胸を高鳴らせて「わからないよ。誰なの?」と問い返せば、「梶原先輩だよ」と教えてくれる赤い唇が、自慢げにつり上がった。

「有紀も覚えてるでしょ?」と、驚きを期待するような顔で言われたけれど……私はピンときていない。


「ごめんね。梶原先輩って、誰だったかな……?」


「えっ!? なんで覚えてないの?」と少々気分を害した様子の亜美ちゃんが、スマホを出して婚約者の写真を私に見せてくれた。

小麦色の肌をして、眉がキリッとした男らしい面立ちの青年が、白い歯を見せて笑っている。

背景はどこかの海で、黒いウェットスーツを着て、サーフボードらしきものが写真の端に写り込んでいる。

サーファーなのだと理解しつつ、高校時代の彼もスポーツで有名だったという記憶が、おぼろげに思い出された。


私が高校一年生の時、三年生に素敵な先輩がいると、女子たちが騒いでいた。

バスケットボール部のエースで、東京都の選抜メンバーにも選ばれたと聞いた気がする。

バレンタインデーには、大きな紙袋三つ分ものチョコレートをもらっていたとの武勇伝も、校内では有名であった。
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