愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
私のように昼食を持参している人は、そのまま各自の席でパンの袋を開けたり、お弁当の包みを広げたりしていた。

私はだし巻き卵焼や、ほうれん草のごま和えなど、朝食の残りを詰め込んだお弁当を持参している。

桐島さんは昼食付きの会議であったり、取引先を訪問後の移動中の車内であったり、または秘書と打ち合わせをしながらデリバリーのものを食べることが多いそうで、お弁当はいらないと言われている。


ショルダーバッグからお弁当と麦茶を入れた小さな水筒を取り出した私は、小花柄の包みを広げようとして思い直し、それらを手に席を立った。

廊下に出て、向かった先は小会議室だ。

今日は周囲を警戒し過ぎて気疲れしてしまったので、昼休みはひとりになりたいと思ったためである。


営業部の向かいにある小会議室は、幸いにも使用中の札はなく、私はそっと開けて中に入り込む。

長机が六つと椅子が十二脚、ホワイトボードがあるだけの事務的で無機質な空間なのに、今は森林浴でもしているような気分で深呼吸して、ホッと気を緩めた。

ここでしっかり休んで気持ちを立て直し、午後は仕事だけに集中しないと。

そう思い、ドアから離れた隅の椅子に座り、お弁当を広げた私であったが……だし巻き卵焼をひと切れ食べたところで、また肩をビクつかせることになってしまった。

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