愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
「ああ」と深みのある声で、彼はしっかりと頷いた。


「時差もあるし、多忙な日々の中ではあまり電話もできないかもしれない。二年間は有紀子に寂しい思いをさせてしまうだろう。それは俺も同じ。寂しくても早く日本に帰るために、必死になろうと思う」


彼の覚悟に私への愛情を強く感じて、胸が歓喜に震えている。

「だから……待っていてくれる?」と心配そうに付け足された言葉に、私は大粒の涙を零して何度も頷いた。


「待っています。桐島さん、ありがとう……」


灰青色の瞳が緩やかに弧を描いた後は、唇が重ねられた。

私を抱きしめてくれる頼り甲斐のある腕と、温かくて優しい唇。

来月になれば、しばらく触れ合えないから、もっと強く抱きしめて、溶けるほどにキスしてほしい……。

そう思う私は、彼の背中に腕を回して、浴衣生地をぎゅっと握りしめていた。



季節は流れ、桐島さんがベルギーへ旅立ってから二度の春が終わり、夏の日差しに照らされる裏庭の紫陽花も、そろそろ花の季節を終わらせようとしている。

九時十五分。

容器包装デザイン部は朝礼を終えて、社員たちはそれぞれのデスクで黙々と仕事に取り組んでいた。

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