愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
廊下に出て右に曲がり、甘い飲み物を買うために自動販売機に向かっていた。

休憩用の椅子と丸テーブルの置かれたオープンスペースは、この階の奥にあり、そこに自販機が二台置かれている。

そこに向かう途中の、給湯室の横にある掲示板の前に、他部署の男性社員がふたり、並んで立っているのが見えた。


部署移動の時期には、この掲示板に辞令が張り出されるので、社員の注目を浴びるけど、その時期にはまだ少し早い。

常時張られているのは献血をお願いするチラシや、健康増進に関する周知ポスターである。

それらを、足を止めてまで読む人はいないのに、彼らは一体、なにを読んでいるのだろうと気になった。

歩速を緩めて彼らの後ろに差し掛かったら、男性のひとりが「これ、桐島社長だ」と言ったから、私の足がピタリと止められた。

「へぇ、来日してたんだ。知らなかったな」ともうひとりの男性が答え、私は目を見開いて鼓動を大きく跳ねらせていた。


帰ってきてたって……どういうことなの!?


「すみません、私にも見せてください!」

血相を変えてふたりの間に割って入れば、彼らは面食らったような顔をしつつも、私に掲示板前を明け渡してくれた。

そして、「仕事に戻るか」と私から離れて、廊下を奥へと歩き去った。
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