愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
ありったけの勇気を振り絞った私は、昨夜、零時頃に、ひと月半ぶりに桐島さんにメールを送ったのだ。

社内報の写真についてを尋ねることも、本当に帰ってくるのかと問うことも怖くてできず、たったひと言、【会いたいです】というメールだけを……。

その返事が、今朝までに届かなった。


今の私は、信じる気持ちよりも諦めが強く、もう涙も出てこない。

やっぱり、私は振られてしまったのだと、ため息をつくだけである。

心に喪失感と悲しみが押し寄せているが、不思議とすっきりとした気分でもあった。

それは、期待と失望の狭間で不安定に揺れていた心が、結論が出たことで落ち着いて、もう悩まずに済むからであると思われる。


着替えをして顔を洗い、台所でエプロンを着た私は、炊きたてのご飯を仏飯器に盛り、仏壇へと運んだ。

コップと花瓶の水も取り替えて、正座をして手を合わせることが、私の毎朝の日課である。

桐島さんにふられてしまったことと、ベルギーについて行かなかったのだから仕方ないという諦めの気持ちを祖母に報告し、同時に悲しみ一色に塗りつぶされた自分の心も、納得させようとしていた。


「二年も離れて暮らせば、心もすれ違う。仕方ないことなんだよ……」

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