愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
プロジェクトは成功し、ライバル社は同時開店した十店舗を、この夏までに半数に減らしていて、数年内には撤退するのではないかと予想しているそうだ。

取り敢えずの脅威は去り、西ヨーロッパでのモルディチョコレートの売上も回復の兆しが見えてきたらしい。

まだ完全復活とまでは言えないので、あと半年ほどベルギー社にいるべきかと、つい最近まで悩んでいたそうなのだが、二日前、代表を務める彼の叔父に『もう充分だ。日本に帰りなさい』と言われたと、桐島さんは話してくれた。

休暇を取れと叔父が命じても従わず、このままベルギーにいたら、桐島さんが過労で倒れてしまうと心配されたみたい。


彼の胸に預けていた頭を持ち上げ、顔を見合わせる。

私の涙はやっと量を減らし、クリアな視界で灰青色の瞳を見ることができた。

彼の苦労と努力を「すごく大変な思いをされていたんですね……」と慮り、「帰ってきてくれて、ありがとうございます」とお礼を言えば、彼は微笑んだ。


「俺の方こそ、信じて待っていてくれてありがとう」


お礼の言葉を返されて、私はギクリとし、目を泳がせてしまう。

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