愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
彼は私の頬を両手で包む。

親指の腹で優しく撫でながら、ばつが悪そうな笑い方をした。


「日本社の社内報に載せられるとは、思わなかった。余計な心配をかけてしまって、すまない。連絡しておいた方がよかったな……」


私への気遣いであったとわかれば、すっかり安心感が戻ってくる。

「あの、昨夜、私が送ったメールは?」と、返信がなかったことについても尋ねたら、彼の眉がハの字に下がる。

帰国が決まったのは二日前で、それから慌ただしくしていたため連絡する暇がなかったそうだ。

直行便の飛行機のチケットも取れず、日本まで二十時間ほどかけて帰ったのだと知らされた。

移動中は疲れ果てて眠り込み、スマホの充電も切れてしまった。

有紀子のメールに気づいたのは紫陽花荘に帰り着いてからだと、それについても「すまない」と謝られた。


「焦っていたんだ。二年で帰れないのではないかと。それで仕事ばかりに意識を向けてしまい、君へのフォローが疎かになっていた。そのせいで随分と不安にさせてしまったようだ。本当に申し訳ない……」


何度も謝ってくれた彼に、「謝らないでください」と私は首を横に振った。

「私のために無理をしてくれて、ありがとうございます。帰ってきてくれただけで幸せで、もうなにもいりません」


すると桐島さんがフッと笑い、その瞳に急に大人の男の色香を醸す。

人差し指で私の唇をなぞり、「俺のキスもいらない?」と甘い声で問いかけるから、私は耳まで顔を熱くした。


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