愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
階段を上りきると、目の前には廊下が横にまっすぐ延びていて、右側の突き当たりには、四畳ほどの板間の共有スペースがある。

そこには小さな手洗い場と冷蔵庫、椅子が二脚のテーブルセットに、将棋盤や日焼けした古い本などが置かれている。

左側の突き当たりは小さな物干し場があり、紫陽花をたくさん植えている裏庭に面している。

その物干し場の手前にある六畳間が、桐島さんに貸している部屋であった。


明かり取りの小さな曇りガラスをはめ込んだ、古い木目のドアの前に立ち、私はブラウスの胸に手を当てて深呼吸する。

引越しの催促をするのは、言いやすいことではないし、緊張する。


部屋の中からは小さな物音が断続的に聞こえている。

パソコンのキータッチの音ではないかと思われる音に、仕事中かもしれないと考えた。


邪魔したら悪いかな。でも、言わなくてはいけないことだから、少しだけ話を……。


遠慮がちに小さくノックしたら、「どうぞ」とすぐに返事があった。


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