愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
苦笑いして釈明する桐島さんは、日本に来る前のことも教えてくれる。

モルディはベルギーの首都ブリュッセルに本社があり、四年前の来日まで、彼はそこに勤めていた。

彼の叔父がモルディグループの代表なのだそうで、若くしてモルディ・ジャパンを経営している理由は、叔父から『お前に任せたい』と言われたためであるという。


桐島さんの説明を聞きながら、私は抱えていた疑問が解けて、納得する思いでいた。

小切手で紫陽花荘の土地と建物をポンと買ってしまえる財力があるのは、こういう背景があってのことなんだ……。


やっと驚きから回復した私が、「桐島さんは偉い方だったんですね」としみじみと呟けば、彼はわずかに眉を寄せて、バツの悪そうな顔をする。


「モルディを今の規模に育てたのは叔父であって、私ではない。今は修行中の身なので、偉いという言葉は、私の力でなんらかの結果を出した後まで取っておいてください」


そのように謙虚なことを言った後、彼は軽く握った拳を顎に添えて、なにかを考えているような顔をする。

そして、「いや、違うな」と前言を撤回した。

< 66 / 258 >

この作品をシェア

pagetop