愛育同居～エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい～
私の三カ月間の新人指導は、本橋さんがしてくれた。

恩ある彼女の業務量を、私が入ったことで減らせたのなら、それは私にとっても喜ばしいことである。


まだ入社して一週間ほどの頃、この階の休憩所でコーヒーを飲みながら、本橋さんを不機嫌にさせてしまったかと不安に駆られた時があった。

しかし、あれは気のせいであったみたい。

本橋さんはそれ以降も親切で、私に優しく接してくれる。

今も帰る前に、わざわざ遠回りして私に声をかけてくれるのが嬉しかった。


「小川さんはまだ帰れないの？」

「もう少しで完成するんです。終わったらすぐに帰ります」

「そう。頑張ってね。お先に失礼するわ」


ニコリと微笑みかけてから彼女は私に背を向けてドアへと向かい、「お疲れ様でした」と答えた私は作業の続きに戻る。


すると今度は、机上でスマホが震える。

見ると桐島さんからのメールで、二十一時頃の帰宅になるという知らせに、残業しても夕食の準備ができそうだとホッとした。

とは言え、いつもより時間はなさそうなので、手の込んだものは作れない。
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