独占欲高めな社長に捕獲されました
てっきり冗談かと思っていたんだもの。
あっちを見たりこっちを見たり、挙動不審になった私の両腕をおばあちゃんが掴んだ。およそ老人らしからぬ強い力で。
「美羽ちゃん、逃げちゃダメ! 社長さん、こんなにストレートに求婚してくださったのよ。 ちゃんとお返事しなさい!」
おばあちゃんの言葉に、頬を打たれたように感じた。
そうだ。私は自分のメンタル許容量を超えたことが起きると、すぐ逃げてしまう癖がある。
絵を描くことを諦めたときもそう。おばあちゃんが弱音を吐いたときもそう。お母さんが家から出ていったときも。それ以降、手紙や電話もしなかった。
物わかりの良いふりをして辛いことから逃げていれば、楽だから。自分が傷つきたくないから。
でも、今はそうじゃいけない。大丈夫。彼は私を傷つけたりしない。
ごくりと唾を飲み込み、背を伸ばして昴さんに向き直った。彼はじっと真剣な瞳でこちらを見つめている。
「あの、昴さん」
「うん」
「まだ知りあったばかりで、その……不安もありますが」
「そうだろうな」
「ですが。ですが」