残念系お嬢様の日常


「あれが……美味しいなんてどうかしているわ」

「ええ! だって、辛味と甘味の絶妙な組み合わせが美味しいよ」

スミレがワサビを苦手だっただけで、案外ワサビケーキって美味しいのかな。でも、私も辛いの苦手なんだよなぁ。


「真莉亜! この男頭おかしいわ! あんぽんたんってこういう男のことを言うのね!」

あんぽんたんはブーメランだ。こそっと私に言っているつもりだろうけど、多分本人にも聞こえてるから。

それに相手は女子に一番人気の男子。

他の女子に聞かれたら、いくらスミレでも大変なことになってしまう。とりあえず落ち着け。

ワサビクリームを食べてから、猫の皮が完全に落としてしまっている。

桃のタルトは食べたので、今度は気になっていた苺のプチタルトを食べてみよう。

それにしてもパティシエ志望のスミレのお兄様ってどんな人なんだろう。

瞳はああ言っていたけれど、いまいちどんな人なのか掴めない。


「……ふげぉっ!?」

鼻をワサビがつーんと刺激して、咳き込む。




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