残念系お嬢様の日常
「それよりも久世との結婚、このままでいいの?」
「急にどうしたのよ」
考え込んでいた私は弾かれたように顔を上げて、鼻にしわを刻みながら蒼に視線を向ける。
蒼は真剣でどこか思いつめたような表情をしているように見えた。
久世との結婚なんて嫌に決まっているけれど、今はどうすることもできないのだ。
それに先に解決しないといけないことがあるし、この問題は後回しだ。
「姉さん、久世と結婚したくないんでしょ」
先ほどのお母様との会話が原因だろうか。蒼がこうやって私と久世の婚約に関してなにか言ってくるのは珍しい。
「それなのに……俺のせいで」
「蒼、そんなこと言わないで。私は蒼のせいだなんて思っていないわ」
何故私と久世が婚約をしたのかを蒼もわかっているんだ。
それでも蒼には自分を責めてほしくない。