残念系お嬢様の日常



『ぎゃああ! なにしてるのよ! 悪霊退散! 臨・兵・闘……』

スミレ、お兄さんに九字切りはやめてあげて。本当かわいそうだから。


『ハッハー! そんなもの効かないな! この額のホークアイを見よ! 跳ね返してくれる!』

『な、なによ! それただのホクロじゃない! かっこ悪い!』

『なんだと! 怒った顔を激写してやる!かわいいな』

『ちょっと! 連写しないでよ!』

失礼だけど、スミレのお兄さんはおバカみたいだった。

瞳が言っていた会わない方がいいというのは、こういうことだったのかもしれない。


しばらく謎の会話に付き合わされた後、スミレとの電話を切り、この世界のことについてまとめているノートを机の引き出しの中から取り出す。



東校舎三階の幽霊の噂……そういえば、そんなこと聞いたことある気がする。


この世界でではなくて、前世で恋スパを読んだときにそんな内容があった。

確か、前世では天花寺がその話を浅海さんにして、偶然にも浅海さんがその幽霊と遭遇するんだ。



「あ、それって……もしかしてあの人のこと?」

この世界と漫画の世界がズレていなければ、幽霊の正体は〝あの人〟だ。


どこまでが同じ世界なのかはわからない。


プールの出来事のように多少のズレはあるのかもしれないけれど、一応補習が終わった後に確かめに行ってみようかな。





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