残念系お嬢様の日常


「で、理事長の姪として僕をどうにかしたいわけ?」

「そちらの家の問題とやり方に特に口を出す気はございません」

「そうだろうな。アンタ、僕に興味なさそう」

「ええ、ないです。ですが、空腹な私に美味しいご飯を分け与えてくれたご恩があります」



私のことを追い返すことだってできたはずだ。それなのにこの人はそれをしなかった。

前世の記憶がある私だからこそ知っている桐生兄弟の関係がある。

私が知っている通りなら、桐生景人はまだ本当の気持ちを隠している。




「ですので、ここにいることは広めたりしません」

「アンタ、変な人だね。お弁当分けたことってそんなに大事なこと?」

「当然です!」

大事でしょうが! 空腹でふらふらしてたんだから!

作ってもらえる有り難みわかってないな、このお坊っちゃま。しかも、分けてもらったご飯は物凄く美味しかった。もっとください。



「じゃあさ、もう一つだけお願い聞いてくれない?」

「え?」

「————てよ」

「はい?」


なんて難しいことを言ってくるんだ、この男。

顔を引きつらせた私を楽しげに眺めながら、「できなかったら、お腹鳴らした雲類鷲家の令嬢が東校舎三階を彷徨いているっていう噂が流れるかもしれないな」と恐ろしいことを言ってきやがった。







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