残念系お嬢様の日常


『で、君は拓人にプールの件のお礼がしたくて、あの兄弟の問題に首突っ込んじゃったんだ?』

「まあ……そんなとこ」

『悪いけど、難しすぎるんじゃないかなー。原作通りならまだしも、拓人を笑わせるなんてさ』

原作通りだったら桐生を笑わせるミッションなんてなかった。

桐生と〝幽霊〟を引き合わせるのは難しくないから私でもできると思ったんだけど、まさかこんなことになるなんて。


「ところで桐生拓人はどうして笑わないの?」

いつだって仏頂面で優しい表情なんて見たことがない。

第二茶道室でスミレが奇妙な言動をしても、眉間にしわを寄せていて他の人みたいに笑わない。原作でもそれは触れていなかった。



『……笑うなって言われたからだよ』

「誰に?」

『母親』

てっきりあの兄にかと思っていたけれど、あの兄弟のこじれた元の原因は両親だった。

原作でちょこっと触れていたけど、桐生の両親は兄の景人に期待していて、厳しく育てていた。

成績も常に一位をキープしないと許されなかったはず。けど、弟の拓人の方は兄ほどは厳しく育てられていなかった。

それがあるときから変わってしまうんだ。





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